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総予算が同じでも、土地に多く配るか、建物に多く配るかで、住まいは変わります。駅や学校に近い土地を取ると、建物の広さや仕様を絞ることがあります。土地の安いエリアにすると、建物や間取りに予算を回せることがあります。
どちらが正解かは、決まりません。先に、次の判断軸を持っておくと、土地探しと間取りの打ち合わせが進めやすくなります。
- 土地と建物、諸費用を分けて、総予算の全体を見る
- 場所優先と建物優先で、間取りに何が起きやすいかを見る
- 総予算 → 土地の条件 → 建物の要望、の順で会社に伝える
この記事では、公的調査の平均を目安として示します。平均は、あなたの家の正解ではありません。地域と契約内容で、金額は変わります。

土地と建物の予算配分、まず全体像を知る
家づくりの総予算は、次の3つで見ます。
- 土地代
- 建物代(本体工事費のほか、付帯工事が別になることがあります)
- 諸費用(税金、登記、ローン手数料など)
土地と建物だけを足すと、配分が崩れます。諸費用の中身は、契約と地域で変わります。建物側の内訳の見方は、こちらの記事で整理しています。
注文住宅の総額、本体価格だけで安心していいのか|内訳の見方を整理する
住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」(2025年度、対象期間は2025年4月〜2026年3月)では、土地付注文住宅(建設費と土地取得費の両方をフラット35で借りている案件)7,733件の平均は、次のとおりです。フラット35の利用者の平均であり、注文住宅全体の平均ではありません。所要資金は建設費と土地取得費の合計で、諸費用を含みません。
| 区分 | 建設費 | 土地取得費 | 建設費+土地取得費 | 敷地面積(中央値) |
|---|---|---|---|---|
| 全国 | 3,737.6万円 | 1,575.3万円 | 約5,313万円 | 206.1㎡ |
| 首都圏 | 3,814.3万円 | 2,590.0万円 | 約6,404万円 | 152.6㎡ |
| 近畿圏 | 3,601.7万円 | 1,884.3万円 | 約5,486万円 | 159.5㎡ |
| 東海圏 | 3,871.1万円 | 1,453.5万円 | 約5,325万円 | 211.9㎡ |
| その他地域 | 3,734.3万円 | 1,016.5万円 | 約4,751万円 | 247.2㎡ |
建設費+土地取得費は、表の建設費と土地取得費の平均を足した値です(全国は3,737.6+1,575.3=5,312.9万円)。
同じ調査の平均から計算すると、建設費と土地取得費の合計に占める土地取得費の割合は、全国で約29.7%、首都圏で約40.4%、その他地域で約21.4%です。建設費の水準は地域で大きくは開きません。開いているのは、土地取得費と敷地の広さです。
国土交通省「令和7年度住宅市場動向調査」(対象は2024年4月〜2025年3月に入居した世帯、令和8年7月公表)では、注文住宅の住宅建築資金(土地購入資金を除く)の全国平均は5,233万円、中央値は4,000万円です。土地を購入した新築世帯の、住宅建築資金と土地購入資金の合計は、全国平均7,646万円、中央値5,100万円です。調査対象と費目の定義が、フラット35利用者調査とは違います。数字を並べて「どちらが正しいか」とは比べません。建物の予算の水準を見るときの、別の公的調査として使ってください。
地価そのものの動きは、国土交通省土地鑑定委員会「令和8年地価公示」(価格時点は2026年1月1日、公表は2026年3月18日)があります。住宅地の対前年平均変動率は、全国2.1%、三大都市圏3.5%、地方圏0.9%です。熊本県の資料では、県内住宅地の平均価格は1㎡あたり62,800円、平均変動率は2.8%、熊本市の住宅地は3.4%です。県平均は、熊本市内と市外、地点ごとに差があります。「土地が高い/安い」は、都道府県名だけでは決まりません。
数字の出典は、記事末にまとめています。
場所優先(土地代が高いエリア)の考え方
場所優先は、通勤、学区、買い物、将来の住み替えのしやすさを、土地に多く配る考え方です。フラット35利用者調査の首都圏では、土地付注文住宅の土地取得費の平均は2,590.0万円、敷地面積の中央値は152.6㎡です。同じ調査のその他地域(土地取得費1,016.5万円、敷地247.2㎡)と比べると、土地代は高く、敷地は小さく出ています。
メリットとして挙がるのは、次です。
- 通勤や通学の時間が短くなりやすい
- 日々の買い物や医療機関への距離を、短く取りやすい
- 将来売ったり貸したりするときの、需要の厚みを見込める場合がある
売りやすさは、その時点の相場と物件の状態で変わります。場所を優先したから、必ず高く売れる、とは言いません。
デメリットは、建物に回せる予算が減ることと、敷地が小さくなりやすいことです。同じ調査でも、首都圏の建設費平均は3,814.3万円で、その他地域の3,734.3万円と大きくは開きません。土地に多く配った分は、建物の面積や仕様を削る側に出やすい、と読んでください。
間取りでは、次が検討に上がります。
- 階数を増やす(2階建てを前提に、3階建てを検討する場合)
- 部屋を小さくする、廊下を細くする
- 駐車場を敷地の前面や建物の下に寄せる
- 隣地との距離が近いときの、採光と視線の工夫
敷地条件で、入る間取りは変わります。土地の資料を間取りの目で見る手順は、こちらの記事です。
土地の資料が届いたら、間取りの目で見る|契約前に確認したい7つのこと
私の担当では、お子さんの小学校区にこだわりがあり、建てられる土地が少ない希少エリアで決められたお宅があります。予算の多くを土地代に充てたため、建物は広さの希望がすべてはかないませんでした。路線価も高いエリアだったため、固定資産税が想定より高かった、とこぼされていました。ただ、立地にこだわって選んだため、場所については満足されていました。
建物優先(土地代が安いエリア)の考え方
建物優先は、広さ、性能、間取りの自由度を、建物に多く配る考え方です。土地代を抑えられるエリアでは、同じ総予算でも、建物側に回せる余地が残ることがあります。フラット35利用者調査のその他地域では、土地付注文住宅の土地取得費の平均は1,016.5万円、敷地面積の中央値は247.2㎡です。
メリットとして挙がるのは、次です。
- 敷地に余裕が残りやすい
- 建物の性能や仕様に、予算を回しやすい
- 平屋や、ゆとりのある動線を検討しやすい
平屋の間取りの見方は、こちらの記事です。
平屋の間取りで後悔しにくい考え方|検討の初期に見ておきたいこと
デメリットは、車が前提になりやすいことと、将来の売りやすさが読みにくいことです。通勤と買い物の時間、ガソリン代や車の台数は、建物の広さとは別のコストです。維持費の合計は、地域と暮らし方で変わります。
間取りでは、次が検討に上がります。
- 平屋、または1階を広く取る2階建て
- 洗う・干す・しまうが近い家事動線
- 庭、駐車場、将来の増築や仕切りの余地
土地が安いことと、希望の間取りが入ることは、別です。形、道路、法令の制限は、価格の安さでは決まりません。
私の担当では、土地にこだわりがなかったお客様は、市街地から少し離れたエリアで、単価の安い土地を選ばれました。その分、広さは十分に確保できて、予算にも余裕が出たので、建物の品質を十分に上げることができました。場所のこだわりがなかった分、建物本体に予算を回せました。

比較表|場所優先と建物優先、何が変わる?
数値がある項目だけ、調査名を付けます。数値がない項目は、傾向です。あなたの敷地では、逆になることがあります。
| 項目 | 場所優先(土地に多く配る) | 建物優先(建物に多く配る) |
|---|---|---|
| 土地の広さ | フラット35利用者調査(2025年度)の首都圏では、土地付注文住宅の敷地面積の中央値は152.6㎡ | 同じ調査のその他地域では247.2㎡ |
| 土地代の目安 | 同じ調査の首都圏で、土地取得費の平均は2,590.0万円 | 同じ調査のその他地域で1,016.5万円 |
| 建物の建設費の目安 | 同じ調査の首都圏で3,814.3万円 | 同じ調査のその他地域で3,734.3万円 |
| 間取りの自由度 | 敷地と法規の制約が先に出やすい | 敷地に余裕が残りやすい。形と法令は別確認 |
| 通勤・買い物 | 距離を短く取りやすい | 車が前提になりやすい |
| 維持費 | 土地の固定資産税などが高くなりやすい一方、車の台数は抑えられる場合がある。税額は自治体の評価で変わる | 建物の規模や性能、車の維持が乗りやすい。金額は契約と地域で変わる |
| 将来の売りやすさ | 需要の厚みを見込める場合がある。相場次第で、断定しない | 買い手が限られる場合がある。相場次第で、断定しない |
「土地が安いほうが得」とは言いません。通勤の時間と、建物のゆとりの、どちらを取るかの配分です。
あなたはどちら?判断軸チェックリスト
診断ではありません。いまの優先順位の目安です。当てはまるほうが多い側を、要望欄の言葉にしてください。
場所寄りになりやすい項目
- 通勤や通学の時間を、短くしたい
- 子供の学区を、変えにくい
- 日々の買い物を、車なしでも済ませたい
- 親の家や病院まで、近い場所に住みたい
- 将来、売る・貸す可能性を、残しておきたい
建物寄りになりやすい項目
- 部屋の広さ、収納、性能を、落としたくない
- 平屋や、庭、駐車場の台数を、優先したい
- 車での移動を、前提にできる
- 長く同じ家に住むつもりで、間取りのゆとりを残したい
- 土地の広さより、家の中の動きやすさを取りたい
両方に当てはまる場合は、総予算の上限を先に決めて、土地の上限額を書いてください。上限がないまま土地を見ると、建物側が後から削られます。
借入の期間と、毎月の返済の見方は、こちらの記事です。
決める順番|総予算 → 土地の条件 → 建物の要望
土地を決めてから間取りを考えると、希望が入らないことがあります。先に、次の順で短く書いてください。
- 総予算と、借入の上限(月々の返済と、諸費用を含めた上限)
- 土地の条件(エリア、広さの下限、駐車場の台数、避けたい形)
- 建物の要望(階数、おおよその広さ、子供部屋、家事動線で譲れないこと)
土地がまだない場合でも、希望する土地の例を添えて、仮の敷地でプランをもらえます。進め方は、こちらの記事です。
土地がある場合は、土地の情報と家の希望を分けて書いてください。
土地がある人の家づくりの進め方|土地の話より先に、家の希望を書き出しましょう
同じ希望で、土地と建物を同時に相談できる会社のプランを、複数並べて見てください。1社の土地情報だけを先に契約すると、その土地に載る家だけが残ります。
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届くプランや土地の情報は、会社によって違います。
申込後に、住宅会社から電話やメールで連絡が来ることがあります。
要望欄に書く例
総予算は建物・土地・諸費用を合わせて○○万円以内です。土地は△△エリア、駐車場は2台、敷地は□□㎡以上を希望します。同じ条件で、土地の候補と間取りプランの両方をいただけると助かります。建物は、子供部屋に机とベッドと通路が取れる広さを優先してください。
連絡方法を伝える例
日中は電話に出られないことが多いため、ご連絡はメールのみでお願いします。
まだ検討し始めたばかりで、ゆっくり考えたいので、お電話は不要です。気になることがあれば、こちらからご連絡いたします。
よくあるご質問
Q. 土地と建物の割合に、正解はありますか?
A. ありません。フラット35利用者調査(2025年度)の土地付注文住宅では、建設費と土地取得費の平均を足した金額に占める土地取得費の割合は、全国で約29.7%、首都圏で約40.4%、その他地域で約21.4%です。平均は目安であり、あなたの配分の正解ではありません。総予算と、暮らしの優先順位で決めてください。
Q. 土地は、安いほうが得ですか?
A. 土地代が安いことと、総額で得することとは限りません。通勤、車、日々の買い物、将来の売却は、土地代の外のコストです。安い土地でも、形や法規で希望の間取りが入らないことがあります。価格だけでなく、間取りが入るかを見てください。
Q. 土地が決まっていなくても、相談できますか?
A. できます。希望するエリアと、広さ、駐車場、建物の要望を書いておくと、仮の敷地での提案が具体的になります。実際の土地が決まったら、その敷地で書き直してください。
Q. ローンの総額は、いつ決めますか?
A. 土地を契約する前に、総予算と借入の上限を書いておくと、土地に予算を使いすぎにくくなります。金利の種類と、毎月の返済の見方は、住宅ローンの記事で整理しています。金融機関と、契約内容で条件は変わります。
まとめ
土地と建物の配分は、総予算と、暮らし方の優先順位で決まります。場所優先と建物優先の、どちらが得か、はありません。
先に総予算と借入の上限を書き、土地の条件と建物の要望を短くしてください。そのうえで、土地と建物を同時に相談できる会社から、複数のプランを取り寄せて、同じ項目で比べてください。
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出典
- 住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」2025年度(対象期間2025年4月〜2026年3月、土地付注文住宅7,733件)。公開日2026年7月24日。閲覧日2026-10-25。調査ページ/調査結果PDF
- 国土交通省住宅局「令和7年度住宅市場動向調査報告書」(対象は2024年4月〜2025年3月に入居した世帯、令和8年7月公表)。閲覧日2026-10-25。報告書PDF
- 国土交通省土地鑑定委員会「令和8年地価公示」(価格時点2026年1月1日、公表2026年3月18日)。全国・三大都市圏・地方圏の住宅地変動率。閲覧日2026-10-25。地価公示のページ
- 熊本県「令和8年地価公示(熊本県分)」(県内住宅地の平均価格62,800円/㎡、平均変動率2.8%、熊本市住宅地3.4%)。閲覧日2026-10-25。県資料PDF
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例:「日中は電話に出られないことが多いため、ご連絡はメールのみでお願いします。」
例:「検討し始めたばかりでゆっくり考えたいので電話は不要です。気になる場合はこちらから連絡します。」
備考欄に書いても、電話が必ず止まるわけではありません。申し込みは、ご自身の判断で進めてください。
土地の価格、建物の費用、借入の条件は、地域と契約で変わります。この記事の数字は、記載した調査の平均または中央値です。実際の計画は、不動産会社、住宅会社、金融機関に確認してください。